「期間工ループ」というのは、一度期間工として赴任した人が、再就職でまた期間工になる現象のことです。この記事は、これから期間工として働こうとしている人、または期間工になったものの、これからどうしたらいいか迷っている人に向けて書いています。
期間工を繰り返す理由
個々人の事情による部分はありますが、期間工を繰り返す理由としては下記のようなものがあります。
・地元に比べて待遇が優れている
・入社が容易である
・作業は大変だが慣れれば楽に過ごせる
一般的な理由としては上記のような内容が多いと思います。これが40代以上になってくると、
・キャリア形成ができておらず、正社員の選択肢が消える
という裏事情が見え隠れしてきます。
結論から言えば、様々な選択肢の1つとして期間工を選んだはずなのに、いつの間にか期間工以外の選択肢を選べなくなっていくから。ということ。
身をもって体験している期間工ループ
個人的な話になりますが、私はもともと営業職の人間で、製造業は畑違いな環境にいました。その後経営者になって失敗し、期間工になったという経緯を持ちます。
製造業の面接では「うちには勿体ない経歴」と評価してくださることがほとんどであり、トヨタもデンソーも派遣会社も同様の反応を頂きます。
ところがです。
アラフォーになった頃、営業職の正社員に戻るべく、複数の転職エージェントを活用して転職活動をしていました。それこそ多くの会社にエントリーをしましたが、箸にも棒にもかかりませんでした。
転職エージェント曰く、実務経験の少なさと年齢がネックという評価。つまり、どこにも行ける場所が無い状態に直面するわけです。
これには本当に参りました。しかし生活費の問題は待ってくれません。働かざるを得ないわけです。地方の会社を未経験からスタートし、年収500万円をもらえるまで、甘く見積もっても10年近くを要します。そのころには50歳オーバー。もう定年が近い状況。スキルが身についたとしても、人生を立て直せるほどの昇給の可能性は極めて低く、望み薄です。
結果として現実的な選択肢の中で魅力的なものは期間工だけ、という状況に。もちろん期間工としてはスキルが身につくわけではありませんから、相当な努力をしないとここから脱出することができなくなる、というわけです。
期間工ループを抜け出す設計が必要不可欠
したがって、期間工ループを抜け出すには、それ相応の人生設計が必要不可欠となる、というのが今現時点での私の結論です。
30代まではある程度幅広い選択肢はあると思うので、早め早めに希望するような職種の経験を積んでおく。そこから転職すれば製造業でもサービス業でもより条件の良い会社へ乗り換えができると思います。30代は未経験で畑違いであっても正社員採用が可能性としては高いので、製造業から脱出したいと思う場合は特に早い段階で転職することが求められます。
40代以上になると、加齢に伴い正社員採用の幅が狭まります。45歳以下の限られた長期スキル形成枠を狙う、知人経由の紹介で入社する、資格取得によるスキル底上げを図る、副業でカバーする、などの選択肢になろうかと思います。
製造業の正社員採用なら40代前半であればまだ可能性としてはあると思いますが、製造業以外の業種への転職は非常に難しい段階です。
探せばある、選ばなければ職はある、と良く言われますが、個人的な感覚から言えば「選ばなければ職はある。だがそれによって人生が好転することは期待薄である」という条件付きの批判に聞こえます。
今はSNSを使って、先達の進路を参考にすることができる時代です。ある方は経営者に。ある方はタクシードライバーに。ある方は営業マンに。そして私は資格の道で進むことを考えています。
期間工という選択肢は、年齢とともに“出口”が見えにくくなります。少しでも「このままではまずいかもしれない」と思うことがあるならば、今すぐにでも人生設計について考えることをお勧めします。
また、もちろん半年待機期間を設けて、期間工として頑張り続けること否定するわけではありません。1年間で500万円という給与水準は、日本においては中央値よりも高いわけですから、これを維持して老後資金まで蓄えるのは、きわめて現実的かつ賢い選択肢だと思っています。
ただその場合も、3年に1度の面接をクリアしなければならない、大病を患って勤務評価を落とすことがない、加齢による体力の低下への対策が必要、という点で、不確実性が高い状況が継続することは留意しておかなければなりません。


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